イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「あ、ありがとうございます。
すみません…ほとんど手伝ってもらって」
結局、ほとんどやってもらうとは、
申し訳ない。
「いーて、いーて。
俺も原因なんだし。むしろ悪かったね。
アイツに怒らす原因作って」
「いえ、普段からよく怒られるので。
本当…自分でも嫌になるぐらいおっちょこちょいで
先生に大分呆れられていると思います。
担当を外されないのが不思議なぐらいですね」
自分で言いながら落ち込んでしまう。
そうしたら浜野さんが
「……呆れても、君を手離さないと思うぞ。
アイツの様子だと」と呟くように言ってきた。
私を手離さない……?
「どうしてですか…?」
何故そう思ったのだろうか?
不思議に思い尋ねる。
「藤崎。アイツさ~自分のテリトリーに
入られるのを異常に嫌うんだよ!」
自分のテリトリー?
意味が分からず首を傾げると
浜野さんは、
「君は、今まで編集者として
中に入れたかも知れないけど
泊まらしてくれるなんて、よほど
気に入らない限り有りえないからね。
合鍵まで貰えたのなら、なおさらだ!」
そう言ってくれた。
えっ?
そんなに凄い事だったんだ?
「でも…同情してくれたのかも。
私が、こんなにもドジだから…仕方がなく」
「アイツが、同情だけで泊まらしたりしないさ。
何か起きるか分からない奴なら
なおさら嫌がる。
睦月が居るし神経質だし。言っただろ?
自分のテリトリーには、入れないって
俺だって合鍵を貰うのにかなり苦労したんだぜ?
余程、涼花ちゃんを信頼しているのだろうな」