イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
すると浜野さんは、困った表情をしながら
「分かったって……余計な事を言わないから
クッションを投げるんじゃねぇ~よ」
そう言ってきた。
「あの…どういう事なのでしょうか?」
意味が分からない。
それと睦月君がクッションを投げるのと
どう関係があるのだろうか?
「コイツは、余計な事を話して
涼花ちゃんを悲しませるのが嫌なんだろ?
藤崎と沙織ちゃんの話なんか聞いたら
余計に落ち込むだろうし」
そうなの……?
チラッと睦月君を見たら
睦月君は、コクリと頷いた。
た、確かにそうだ。
気になるとはいえ……もし聞いたら
落ち込むだろう。
きっと胸が苦しくなるぐらいに
素敵な夫婦に違いないのだから
そっか……私のために。
「ありがとう……睦月君」
わざわざそれを止めてくれたのだ。
私が悲しませないように…。
するともう一度コクリと頷き
私に抱きついてくる睦月君だった。
それを見ながら浜野さんが
「しかし、コイツも一人前に女性を守るとは
まだチビのくせに」
苦笑いしながら頭を撫でようとする。
だが睦月君は、ビシッと手で払い除けた。
あっ!?
そして、冷たい目付きで睨み付けていた。
この表情……先生にそっくり。
まるで
「触るんじゃねぇー」
そう言っているように見えた。
「この目付き……藤崎そっくりだな。
さすが…親子」
浜野さんの言葉に思わず苦笑いしてしまう。
本当にそっくりだわ。
私は、それ以上尋ねるのを止めた。
そうよね……わざわざ自分で苦しむ
原因を作る必要はない。
先生と前を歩いて行くって決めたのなら
気にしていたらダメよね。
睦月君が居なかったら
きっと聞いて泣いていた所だったわ。