イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
もう奥さんの事を聞くのは、やめよう。
改めて睦月君に気づかされた。
チャーハンは、ダメになったけど
ラーメンだけ作り昼食にした。
睦月君用には、小さな丼茶碗で
用意してあげて食べさせていた。
浜野さんは、睦月君にちょっかいを
かけようとするが
睦月君は、無視して食べ続けている。
「おい。無視するなよ~睦月」
「大輔。お前…何をやらかしたんだ?」
ギロッと睨み付ける先生。
「別に~大した事じゃねぇーよ。
ちょっと、お前と沙織ちゃんの事を
涼花ちゃんに話してあげようとしたら
怒らしちゃっただけ」
「十分にやらかしてるじゃねぇーかよ。
勝手に人の過去を話すんじゃねーよ!?」
そう言いチョップを食らわしていた。
痛そう…。
「痛ったた……ごめんって。
まだ、話してないから許してよ。つい出来心で」
苦笑いしながら浜野さんは、そう言ってきた。
私から質問したからなのに
浜野さんは、一言も言わなかった。
怒られないようにしてくれたのだろう。
「ったく、出来心じゃねぇーよ。
過去は、過去だ。
他人が余計な事に首を突っ込むな!」
ズキッ…と胸が痛んだ。
まるで自分の事を言われてるような気分だった。
確かに私は、先生からしたら他人。
無闇に首を突っ込んで話を聞くものではないけど
ガタガタ震え出す手。
するとバシャッと睦月君が
丼茶碗を誤ってひっくり返してしまった。
あっ!?
「た、大変。こぼれちゃったねぇ~。
火傷しなかった!?」
慌てて丼茶碗を戻し布巾で拭いた。
睦月君は、首を振った。
どうやら火傷は、しなかったみたいだ。