ゆりかご
あたしは、何も言えなかったーーー。

「そ、そー…なんだ。」

「うん。じゃぁね。」

言えなくて、手を振る雪乃を見送ることしか出来なかったーーー。


こんな時間に…わざわざ翔矢の家までーーー?

あたしは、翔矢が補欠に選ばれてる事なんて…知らない。

練習メニューの打ち合わせーーー?

雪乃……本当に?


今日だって翔矢は、おでこにチューしてくれた以外は何もしてくれなくて…何かして欲しい訳じゃないけど、でも付き合ってたら…期待することもある。

それなのに……雪乃とは、ホントに打ち合わせ?

髪の毛とか、化粧のこととか、触れて欲しい事はたくさんあった。

あたしにも…もっと触れて欲しかった。

あたしの中の不安が、どんどん膨らんでいく…。

あたしだけ高校が離れた事で、あたしの知らない事が増え続けてるみたいで……翔矢に会えて幸せいっぱいの今日に、あたしの不安な気持ちが勝ってしまっていた。

「……。」


大丈夫…だよね?




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