ゆりかご

2

あれから数日ーーー翔矢や雪乃には何も言えないまま、思い出しては泣く日々を過ごしていた…。

どちらかからメールが来ようものなら、悲しみと嫉妬に揺さぶられながら、激しく泣いた。


今なら、浮気されたなんて言えないと言っていた愛衣の気持ちが、よくわかる。

「…。」

浮気ーーーなんだよね…。

認めるのも、確かめるのも怖くて……何もできないでいる、ヘタレなあたし。


「…清田さん、おはよう。」

コータローは、相も変わらず話しかけてくる。

「…。」

会わないようにしていても、待たれたら何ともならない。

あたしがコータローの行動パターンをわかっているように、コータローもあたしのことをわかっているのだろう…。

何なんだ…あたしとコータローって……。


あたしはコータローを無視して、教室へ向かった。

「おはよ、繭子。…て、最近化粧濃くない?」

「そぉ…?」

そろそろ言われるだろうとは思っていたけど…腫れた目やクマを隠すために、アイメイクだけ濃いめにしているのを、美羽は気付いていたようだ。


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