ゆりかご
「まぁちょうどいい感じだけとね。何かあったの…?コータロー?」

「…ううん。そのうちまた話すよ。」

あたしは静かに席について筆記用具だけ机にしまい、頬杖をついてホームルームの時間を待った。


「まーゆーこっ!おはよ!」

「…⁈ゆ、ゆうちゃん…どーしたの?」

背後から突然肩を掴まれ、やたらテンションの高いゆうちゃんに付いていけないあたし。

「ねぇっ、土曜日ヒマ⁈今週のだよ?ヒマ⁈」

「…多分何にもないけど、何で?」

「陸上部の大会があってね、木村くん応援で100メートルに出るんだって!繭子が居たら私も声かけやすいから、一緒に来て欲しいの!」

「…それは、無理かな。」

「えーっ、何でー?」

いつになく積極的なゆうちゃんは、なかなか引き下がってくれなかった。

あたしは…コータローの応援には、行けない……。

だって、そこには…。

「ゆうちゃんは、もう充分コータローと仲良しだから…大丈夫だよ。」

「そぉかなー。私、自信ないよ。」


そこにはきっと、翔矢もいて…補欠だから、マネージャーとかの近くにいたりして……そしてあたしは、翔矢と雪乃が仲良くしているところを、見つけてしまう自信がある。


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