ゆりかご
驚くコータローを見つめるあたし。

なんで、キスされたんだろう…。

こんな中途半端な状態で、されちゃダメでしょ……コータローに申し訳ない。

でもあの瞬間、あたしはコータローを受け入れた。

美羽の言うように、コータローのことが好きなのかな…。

でも、それでもまだ、これが翔矢とだったら……そう思う自分もいる。

”雪乃とは何でもないよ”って言って、抱きしめてくれないかな…って、淡い期待すら……。

「ごめん…ホントごめんね!あ〜オレ最ッ低…。良かったら使って?」

「え…?」

コータローから渡されたのは、キレイな青色のタオルだった。

「タオル…?」

「うん。涙、それで拭いていいから。」

涙ーーー…。

「あ……。」

あたしは、そっと涙を拭いた。

「あたし泣いてばっかり(笑)。タオル、洗って返すね。」

泣いてた事にも、気がつかないなんて…。

重症だ。




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