ゆりかご
「あ…繭子!」

雪乃から目を離せなかったあたしは、すぐに気づかれてしまった。

「ゆ、雪乃…偶然だね……。」

ドキドキするのを、何とか抑え込んで言葉を発した。

「そうだね…。」

雪乃は、何だか浮かない顔だった……というより、あたしが送ったメールをそのままにしてるのもあって、気まずい感じ?


「これからあたし…翔矢の家に行くところなんだ。あ、今日大会だったよね?どうだった…?」

あたしも、何だか様子を伺うような話し方をしてしまう。

「え?繭子は呼ばれてないよね…?」

「…え?」

「翔くんの家に呼ばれてるのは、あたしなんだけど。」


空気が、一瞬で凍りついた。


「ちょっと雪乃、それどーゆう意味…!」

「…やめてよ、こんな所で。」

思わず声を荒げるあたしに対して、急に冷ややかな態度になった雪乃。


< 183 / 272 >

この作品をシェア

pagetop