無口なセンパイに恋した仔羊
3.どうしても伝えたい
震える手で鍵を開け、ドアを勢い任せに開け、中に入るとバタンと閉めた。

そしてその場に座り込む。

…綾人さんにキスされるなんて、…進藤さんに見られるなんて、思いもしなかった。

仕事から帰って来ると、マンションの入り口で、綾人さんが私を待っていた。

驚きつつも、今日が、返事をするチャンスだとも思った。

…私は、進藤さんが好きだから、綾人さんの告白は、受け入れられない。

「…お疲れ」
「…綾人さん、…ごめんなさい!」
「…⁈…突然だな」

私の言葉に、驚く綾人さん。

「…私、進藤さんが好きです。この気持ちは、誰にも譲れないし、諦める事も出来ません。だから、ごめんなさい」

そう言って、深々と頭を下げた。

静かに、綾人さんが、近づいてきているのがわかった。

私の前で足を止めた綾人さん。

「…ごめん、俺もこの気持ちはそう簡単に、諦められない」

その言葉に驚き、上を向いた瞬間、綾人さんは、強引に、私を捕まえ、キスをした。
< 23 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop