オトナな部長に独占されて!?
そんな想いで見ていると、部長デスクの固定電話が鳴った。
小さな黄色のランプが点滅しているから、内線なのは遠目でも分かった。
右手でマウスを操りながら、左手で受話器を耳に当てる葉月部長。
その顔が、なぜか急に険しくなる。
ハンサムな眉間にシワが寄り、一言だけ受け答えをして受話器を置くと、立ち上がってドアに向けて歩き出した。
何があったのだろうと気になって、自分の椅子に着席してからも、部長の姿を目で追ってしまう。
濃紺のスーツの背中が、ドアの向こうに消えていく。
私は急いで鞄の中からお財布を取り出した。
時刻はちょうど12時。
「昼休憩に入りますので、何かあったら連絡下さい」と山田さんに一声掛けて、営業部のフロアを抜け出した。
その本当の目的は……昼食ではなく、葉月部長を追うこと。
なぜか、すごく気になった。
葉月部長の物腰は、いつも柔らかく丁寧で紳士的。
それなのにさっきの電話応対の後の部長はあきらかに不機嫌そうで、歩き方にも隠せない苛立ちが現れていた。
何があったんだろう……。
部長に関する何かに、問題が発生したとか?
私ごときが心配したところで何の役にも立たないと分かっていても、気になって仕方なかった。