オトナな部長に独占されて!?
こっちに向かっている部長ふたりと私の距離は、十数メートル開いていた。
私の存在は、まだ気付かれていないみたい。
鉢合わせてはいけない気がして、思わずすぐ横にあった大会議室のドアを引いて中に身を滑り込ませた。
幸いにも会議室は使われていなくて、無人だった。
楕円形に組まれた会議用テーブルと、椅子が30脚ほど等間隔で並んでいるだけ。
ホッとして、気を緩めた。
ふたりの部長がどこに行こうとしていたのか分からないけど、ここでやり過ごして、こっそり営業部に戻ろうと考えていた。
しかし……。
大会議室には、前後にひとつずつドアがある。
私が入ったのは後ろのドア。
前のドアから西園寺部長の『ヘヘヘ』と笑う気持ち悪い声が聞こえてきて、ドアノブが回されるのを見てしまった。
嘘っ……ここに入って来ちゃうの⁉︎
ヤバイと焦って、咄嗟にテーブルの下に潜り込む。
会議用テーブルは背板が付いているので、隠れるにはもってこい。
ただし、足元の20㎝ほどは空いているけど……普通は人が潜んでいるなんて考えないだろうから、気づかれないと思いたい。