オトナな部長に独占されて!?
店主に促されて、私と部長は店の中にお邪魔した。
勧められたのは、二人掛けの深緑色の布張りソファー。
日焼けしているし、あちこち破れて中のスポンジが見えているしで、褒めたくても褒められない代物。
「お構いなく」と私が言っても、店主はお茶を入れにバックヤードに入ってしまった。
その間、私は商談の準備をする。
電車の中で部長に『役に立たない』とムカつくことを言われたファイルやタブレットを鞄から出していた。
葉月部長はソファーに座らず、写真館のあちこちを見て回っている。
古いだけでそんなに興味をそそられる物などないのに……と思いながら、部長にさっきの事を一応説明しておいた。
「外で店主さんが言った言葉。古くて汚いなどと、私はそんなに直接的に言ったことはありませんから」
部長はレトロな額縁の中の、七五三の女の子の着物写真を見ていた。
それから、撮影用のカメラやレフ板、衣装や背景、どれも時代遅れの物たちを見て歩きながら、私の説明にこんな指摘を加えた。
「そうでしょうね。高村さんが直接的には口にしていないと、信じていますよ。
ですが、店主の鶴亀さんは、あなたがこの写真館に対してそう思っているのだろうと、感じたみたいです。
その原因は、あなたの態度にあるのでは?
心当たりがありませんか?」