オトナな部長に独占されて!?
なんとなく気まずそうな顔をしているその人は、「オヤジ……」と店主に向けて口にした。
え? 息子さん?
三年間、一度も帰ってないという、息子の寿彦さん?
突然の状況に私は固まるしかできないが、葉月部長の顔には、なぜか笑みを浮かべる余裕があるみたい。
店主の鶴亀さんも、私同様に驚いてから、久しぶりの息子に言った。
「裏から入ってきたのか?
また急だな。連絡くらい入れたらどうだ」
「いや、帰るつもりはなかったんだけど、呼び出されたんだよ。
そこにいる、葉月さんに」
はい?
葉月部長が息子さんを呼び出したって、どういうこと?
いつ、どうして、どうやって?
疑問符だらけの頭で、ひとりだけ余裕な葉月部長と、鶴亀親子を順番に見ていた。
息子さんは罰の悪そうな笑みを浮かべて、父親に説明した。
「三日前、仲間との個展の開催中に、会場に電話がかかってきたんだ。
鶴亀写真館の改装についてって切り出しだったけど、話の内容はそれじゃなくて、オヤジの本音が知りたければ今日、この時間に、こっそり帰ってくるといいですよって話だった。
それで、裏で全部聞いてたんだよ……」