オトナな部長に独占されて!?
心で焦りつつ平静を装ってメニュー表を閉じたのだけど、葉月部長が私の頼まなかった前菜からデザートまでを追加して、ふたり分6品ずつを慣れた様子で注文してしまった。
これには財布の中身が気になって、青くなってしまう。
給料日前なので、ちとキツイ。
カードで分割にするか……。
そんなことを考えていると、ウェイターが去った後に葉月部長はクスリと笑って私に言った。
「安心して下さい。あなたに支払いをさせるつもりはありませんので」
「それは困ります! お詫びが……」
「食事に付き合って貰えたことが、お詫びということにして下さい。
寂しい一人暮らしの男の夕食に、可愛い女性が同席してくれる……これは、私にとって嬉しいことです。
それだけで十分。それに、私にも少々のプライドという物がありますので、そこを理解して頂きたい」
葉月部長のプライド……。
そっか。末端平社員の私なんかに奢られたら、部長としてのプライドが傷つくのか。
それは考えてもみなかった。
食事を奢ることでお詫びをしたいなんて、浅はかだったのかも。