異聞三國志
瞬く間に一月が経った。

もう日常会話は勿論、ある程度の会話までこなせるようになった二人。


理沙子もすっかり元気になった。


そんなころ


「そういえばここは諸葛亮の家だったよね?全然見かけないよね、孔明さん。」


士郎がふともらした。

「あたしも見てないわ。でも奥様に『旦那様の孔明様はいずこに』とこの間聞いたら、『あの人は家には殆んど帰らないから。帰っても寝るだけ。いてもいなくても同じ』なんて言ってたわ。」


「俺も気になってたんだ。どうなってるんだろう、この家?確か孔明は一種の過労死だったよね、だから朝から晩まで役所に詰めて働き通しでは。」


「働き過ぎ、本当に。あれじゃ奥様が可愛そう。何とかならないかしら。」


と二人が喋っていたところへ、突然孔明が帰宅した。


「帰ったぞ。」


「まああなた、珍しい。」


となどととぼけた会話をしながら、


「二人は何とか喋れるようになったか?」


「はい。」


と孔明と月英は会話していた。


と、いきなり孔明は振り返って喋りだした。

「私が漢の丞相諸葛亮字は孔明と申す。いつぞやはすまなかった。」


「いや、面を上げてください。私達こそ、無礼の段ひらにご容赦を。」

士郎は、小説、テレビ等での侍言葉のように不思議に喋れた。

「今日は他でもない。君たち二人はやはりどこの国にもそんな民族はいない。ましてや、その紙やその変わった筆等だけでも、かなり気になるのでな。是非ともどこから、来たのか知りたいと思っての。」


「我々は倭の国から来ました。但し、1800年後の未来の倭ですが・・・。」


「み、未来・・・。」

流石の孔明も絶句した。
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