Rose of Blood 【リメイク版】
部屋に戻るとルカが笑顔で駆け寄ってきた。その勢いのまま抱き付かれ、抱きしめた。



「おかえりなさい! 久しぶりの家族との食事は楽しかった?」

「あぁ」

「……本当に? 何だが浮かない顔してる」

「そう? 父と仕事の話になってしまったからかもしれないな」

「そうなの? それじゃあ疲れちゃうね」



無邪気に笑うルカ。この笑顔を失いたくない。傷つけたくない。



「明後日セリアルがルカを迎えに来る」

「セリアルが?」

「ルカを部屋に招待したいらしい。 あいつの部屋は独特だから、きっと楽しいと思うよ」

「そうなの!? 早く明後日にならないかな!」



アマンダの事はルカに話す必要はないと判断したが、ルカの笑顔を見たら黙っている事に対して少なからず罪悪感が芽生えた。だが黙っている事は、ルカにとっても俺にとっても最善だと自分に言い聞かせた。

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