愛も哀も
「翔よくやった」




畳の匂いがする。




決していい匂いじゃない。




闇にいる腐った人間の匂い。




仕事を終わらせ、家に帰ると毎日こんな匂いを嗅がなければいけなかった。




私自身も腐った人間の匂いがするそんな部屋で父は私によくやったと笑顔で言う。




嬉しい。




父に誉められると凄く嬉しい。





そんな普通の家庭の子供が思うようなこと、思ったことは一度もない。




父が嫌いな訳ではない。




しかし、何故か家族とは思えない。




家族と言うより仲間という感じ。




何故そう思うかは私にも分からないーー




そんな仲間に作り笑いをしてしまう私。




闇をもった優しさの欠片もない笑顔しかつくれなくなってしまった。




「私......人形じゃん......」




「翔。何か言ったか?小さくて聞こえなかった。」




「いいえ、何も言っていません。」




父はそうかと言いもう寝ろと言ってきた。
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