夏とサイダーと手紙
心地良い感覚に浸りながら、何時ものようにぼんやりと視界を埋め尽くす海を眺めていると、波間に何かが漂っている事に気が付いた。

波によって不規則に揺らめくそれは、時たま眩しい程に陽光を跳ね返して自己主張する。

目を凝らすと、それが何かの瓶であることが認識出来た。

少し強い波に流されたその瓶が、柔らかく湿った波打ち際の砂に突き刺さる。

裸足になって、砂浜から伝わる熱に耐えながら、小走りで近寄って手に取ってみる。
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