イジワル同居人は御曹司!?
「それで明日の会議で部長達を説得すんのか」

奏さんは大根と烏賊の煮物をつまみながら言う。

「そーなんですよー」

私は向かいに座って晩酌にお付き合いする。

「そーなんですよー、とは随分余裕だな」

奏さんが私の口真似をしたので思わずクスリと笑ってしまった。

ミーティングの翌日には、加藤課長が次回の部会で私が発表するよう早速段取りをつけてくれた。

一見のんびり屋さんだけど、意外と仕事は早い。

「ある程度加藤さんの方から上へ事前に根回ししておいてくれるみたいですけど」

私はグビりとビールの飲む。

「軽くプレゼンの練習もしておくか。後で俺の部屋に来い」

「あい!」

私はこっくり頷いた。


奏さんから渡された『5歳児でもわかる!戦略的マーケティング』という標題の本をベッドの上で読んでいると部屋のドアがノックされる。

「紗英、寝てないだろうな」

ドアが開いて奏さんが顔を出す。

髪の毛が濡れており、首からタオルがかけられているということは、どうやらお風呂に入ってきたようだ。

「資料を持ってこい」

はあい、と間延びした返事をしながら言われた通り資料を持って奏さんの部屋へと向かう。
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