イジワル同居人は御曹司!?
3年間で10倍?そんなの無理に決まってるじゃないの。魔法でも使うつもり?

私は思いっきり眉根に皺を寄せた。

「そのために私達がお手伝いさせていただくことになりました」

しかし、口元に笑みを湛えているものの奏さんの目はマジだ。

「皆さん、よいものを作りましょう」

その口調は穏やかだが、自信に満ち溢れている。

今始まったばかりなのに、この人と一緒にプロジェクトを推進すれば何かが変わるかもしれない、という淡い期待すら抱かせた。

みんなの目にはさぞや誠実で頼もしいコンサルタントに映った事だろう。

私もきっとそう思ったに違いない。家での仏頂面を見ていなければ、の話だけど。


打ち合わせが終わると次回のミーティングまでの各々の課題について認識を合わせ解散となる。

「引き続きよろしくお願い致します」と言い残し、奏さんは颯爽と会議室から出ていった。

その姿が見えなくなると緊張が溶け全身の筋肉が弛緩していく。

私は桜井と一緒に会議室の後片付けをする。

「いやーしかし驚いたよな」

桜井は向かい合わせになるよう四角に並べられた会議室のテーブルをテキパキと元の位置に戻していく。

「そうだよね」

私は神妙な面持ちで頷く。

3年間で売上高を10倍にするなんて、途方もない数字でなんだか現実味が感じられない。

「羽瀬とソックリだったよな!羽瀬兄!」

…なんだ、そっちかい。

思わずズッコケそうになる。

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