イジワル同居人は御曹司!?
私は椅子を片付けながら「そうだねー」と適当に相槌を打つ。

「しかもかなりの男前だったしな」

桜井がニヤリと含みのある笑みを浮かべた。

「そうかな」

本性を知ると素直に同意出来ない気がする。

しかし、またまたー!と言って桜井は冷やかしてきた。

「挨拶の時は随分おしとやかだったじゃないか。いつもはもっとグイグイ行くくせに」

「そんなんじゃないよ」

怯えてただけだよ。家から追い出されちゃうからね。

「まあな、藤田の気持ちも解らなくないよ。頭も切れそうだし容姿端麗だもんな、羽瀬兄」

何故か桜井が乙女のようにうっとりしている。

だからなんでそんな話になるんだ。

私は曖昧に笑って受け流す。

桜井に奏さんを勧められているようでなんだか気分が悪い。

「羽瀬歩に頼んで一席設けてもらおうか」

「だからいいってば!」

思わず口調がキツくなる。

「ごめん…」桜井は大きな目を瞬かせた。

「羽瀬兄の事はどうでもいい。だけど、それを桜井に冷やかされるのが嫌なの」

私は真っすぐに桜井を見据える。

言った…言ってしまった。

「どういう意味?」しかし桜井は不思議そうにキョトンとしている。

「だから私は桜井が…」

私が次の言葉を発しようとした瞬間、ガチャっとドアが開いた。
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