イジワル同居人は御曹司!?
そして翌日

「では先日のコンペの結果、サイトデザインについてはKデザインに決定、と言う事でよろしいでしょうか」

小泉氏が爽やかな笑顔で尋ねる。

「はい、そちらでお願いします」

しかし、私の声は新宿二丁目にいそうなダミ声だ。

「藤田さん風邪ですか?」

小泉氏は心配そうに眉根を寄せて尋ねる。

昨日は若いメンズとカラオケに行ったらついハシャギ過ぎちゃいました!

…なんて言える訳もなく「そんなとこです」と曖昧に返しておく。

最近ではシステム班とデザイン班に別れて打合せをするため、奏さんと仕事で顔を合わせる事はない。

私が家を出て言ってから、顔を見るどころか、電話で話すこともなかった。

最後に『残った物はお手数ですが捨てておいてください』とメールを打ったが『了解』と一言そっけない返信があっただけ。

奏さんは私がいなくなってせいせいしているのかもしれない。

そう思うとちょっと胸が苦しくなる。

「次回からデザイナーを含めて、サイトデザインについて検討を勧めて行きましょう」

「解りました」

次回のミーティングの日取りを決めて、本日の打合せは終了。

山下と一緒に小泉氏をお見送りに行くと、エレベーターホールでばったりシステム班と鉢合わせする。
< 265 / 328 >

この作品をシェア

pagetop