イジワル同居人は御曹司!?
すらりとした長身に仕立てのよいチャコールグレーのスーツ。

茶色い髪をフンワリと後ろに流した奏さんの姿がそこにあった。

あぁ…興奮し過ぎて鼻血が出そう。

奏さんも私達に気がついたようで小さく会釈する。

「うわーん!会いたかったよー!」と言って腰にしがみつきたい衝動に駆られるけど、ここは会社だ。落ち着け私。

「おい、藤田」

桜井に声を掛けられて我に返る。

「今日の用件定義で話してたんだけどさ…」

私は奏さんに意識が持っていかれないよう桜井の話に耳を傾ける。

そうこうしているうちにエレベータが到着して扉が開いた。

「では宜しくお願いします」

私達は頭を下げて来客を見送った。

束の間の再会。

それだけで私の胸はこんなにも高鳴っている。
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