イジワル同居人は御曹司!?
「ええ…いや、でも羽瀬さんには解らないと思うので大丈夫です!」

動揺のあまり、失礼な言い方になってしまった。

受話器の向こうで暫し奏さんは沈黙する。

あ、絶対今ちょっとムッとしてる。

『御社のプロジェクトを統括しているのは私です。寧ろ解らない方が問題だと思いますけど?』

…ほらね。

「じゃあ、あの、お伺いしますが、今からサイトの仕様を一部変更することは可能でしょうか」

『…は?』

きっと奏さんは受話器の向こうで、ものっ凄く眉間に皺をよせているに違いない。

◇◆◇◆

そして今私はガーデンシティのサウスタワーに…いる…。

華やかな商業エリアを通り抜けると、高層階のオフィスエリアに通じる高速エレベーターに乗り込んだ。

窓から外の景色を眺めていると、地上からどんどん遠ざかり人が蟻の大きさに見える。

ウェルアンドカンパニーのオフィスのある30階に到着すると、カウンターに座った受付嬢が笑顔で迎えてくれた。

「P&Cの藤田です。羽瀬さんとお約束で伺いました」

「少々お待ちください」と言って、モデルのような受付嬢は何処かに電話を掛け始める。

「そのままお通りください」

私は言われるがまま自動ドアを通り抜けて、オフィスへと入っていく。

入口付近はちょっとした打合せスペースになっていた。
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