イジワル同居人は御曹司!?
「藤田さんも申し訳ありません」

まったくだ。

私の担当は小泉氏じゃないのか!

…と文句の一つでも言ってやりたいとこだけど、奏さんが怖くて「大丈夫だと思います」と曖昧に誤魔化した。

「では藤田さん、此方へ」

奏さんは紳士的にニコリと微笑んだ。


後をついていくと、奏さんのプライベートオフィスに通される。

入った瞬間にふんわり奏さんの香りが漂って、ちょっとだけ興奮した。

自宅の部屋と同様、オフィスも整然としていた。

本棚に並んだ書籍はキチッと背表紙の大きさ順に並んでいるし、広々としたデスクの上に置かれている2台のノートパソコンは平行に並んでいる。

お掛けください、と促され応接セットのソファーに腰を下ろす。

奏さんが後ろ手でドアを閉めると、久しぶりに2人きりとなる。

ドアはガラス張りで、外からの見通しはよくなっているものの、もんの凄く緊張する。

震える手を隠すように、膝の上でぎゅっと両手を握り合った。

「お久しぶりですね、藤田さん」

「ご、ご無沙汰してます」

…そして恒例の変な挨拶を交わす。

久しぶりに奏さんを真正面からみると輪郭が以前にましてシャープになった気がする。

ちょっと痩せた?

きっとまた仕事に夢中になってご飯を食べてないのかもしれない。

奏さんの茶色い瞳と目が合うと、思わずドキっとしてしまう。
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