イジワル同居人は御曹司!?
「それでねーゆうぽんが小泉氏に恋しちゃったんだってー!意外だよねー」

私は青椒肉絲を頬張りながら言う。

今日の夕飯は奏さんが好きな中華だ。

「あのギャルが?うちの小泉に?」

愛弟子に恋をしたとなれば、クールな奏さんもさすがに驚いた様子だ。

「それがもうギャルじゃないのよ!」

私はスマートフォンで撮った変身後のゆうぽんの姿を奏さんに見せる。

「これは…また随分可愛らしくなったじゃないか…」

奏さんは眼鏡を人指し指で上げてマジマジと写真を眺める。

「なんでも小泉氏に素っぴんを見られた時にそっちの方がいい!って言われたんだって」

「それは素っぴんを見せるような関係にはなった、と言う事か?」

奏でさんがボソリと突っ込んできたけど、愛だよねーと言って私は話しを誤魔化した。

「そういえば、引継の方は順調に進んでいるの?」

「一応」

奏さんは今月勤めていたウェルアンドカンパニーを退職する。

Web再構築プロジェクトについては個人的に、色々サポートしていただけると言う事なので、私の仕事には支障はなさそうだ。

対価も毎晩たっぷりお支払いしているしね。

「紗英は…転職先の事が気にならないのか?」

「そのうち教えてくれるんでしょ?こうやって奏さんと一緒にいられたら別に漁師でもしゃちょーでも正直なんでもいいんだ」

私は照れ隠しに、へへッと笑う。
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