イジワル同居人は御曹司!?
「さっきから阿呆みたいにボーっとしてて他の女の事でも考えてるんじゃないでしょうね」

私は奏さんの上に跨ると、その端整な顔を見下ろす。

茶色い瞳にツンと尖った高い鼻

薄情そうな薄く形の整った唇

この人を絶対誰にも盗られたくない。

…仕事には負けちゃうけど。

「ずっと沙英の事ばっかり考えてたよ」

奏さんポケットに手を突っ込みゴソゴソ探る。

「これ」

目の前に黒いレザー張りの小さな箱を差し出される。

どうぞ、と言われて反射的に受け取ってしまった。

「何これ?」

「開けて」

私は言われるがまま蓋を開きハッと目を見張る。

中に入っていたのは指輪だった。

丁度こんな感じの指輪を、歩や優梨奈が嵌めていたような気がする。

…嘘でしょ?

これは、世間で言うところの…

動揺のあまり私はパクリと蓋を閉じると「おい、なに閉じてんだよ」と、すかさず奏さんに突っ込まれる。

再び恐る恐る箱を開くと、指輪をジッと眺める。

丸みを帯びた優しいフォルムのセンターに、一粒のラウンド・ダイヤモンドが乗っかっている。

シンプルで上品なデザインだった。
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