きみの愛なら疑わない

何度も私からくっついて、浅野さんからも私に触れてくれる。キスをして抱き締めてくれても、私はまだ浅野さんと体の繋がりはない。
強引に家まで押し掛けて薄着で横に寝ても、こうして腕で包んでくれるばかりで服を脱がそうともしてこない。
腰より上に手を動かすことはない。腰より下に触れることはもうない。

「浅野さん」

「ん?」

「抱いてください……」

女から言うなんて恥ずかしいセリフだ。でも言わないと深い繋がりはずっとないと思えてしまう。

「抱いてるよ」

浅野さんの腕はいっそう強く私を抱き締めた。

「そうじゃなくて……」

ものすごく勇気を出した。引かれるかもしれないけど体だって浅野さんと繋がりたいって思ったのに。

「……時間をちょうだい」

浅野さんの声は少しだけ掠れている。

「君を軽く扱いたくないんだ……」

それは何よりも嬉しい言葉だ。
不安だった。体で繋ぎ止めないとすぐに離れてしまいそうで。
けれど私を大事にしてくれる浅野さんの気持ちを尊重したい。
セフレにしないでいてくれることを喜ぶべきなんだ。

「それにしても、足立さんって本当に大胆だよね」

「そうしないと浅野さんはいつまでも相手にしてくれないんです」

「そんなことないよ」

浅野さんは再び私の髪にキスをする。体を起こして唇を髪から耳へ。耳から首へ。

「っ……」

首へのキスに弱いことを浅野さんにはバレている。
体をよじる度に耳の下に触れるだけの優しいキスを、うなじにはちゅっと音を立ててキスをする。
『軽く扱いたくない』と言っておいて、本当は焦らされているのではないかと思えてくる。このままでは本当に引かれてしまうくらい大胆なことをしてしまいそうだ。

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