きみの愛なら疑わない
体を反転させて浅野さんの方を向くと、今度は私が浅野さんに抱きついた。喉仏に吸い付くように強くキスをする。
「キスマークがついたら恥ずかしいんだけど……」
浅野さんの焦った声が頭の上から聞こえてくる。
「浮気防止です」
「浮気なんてしないよ」
「知ってます……」
絶対に私を裏切らないって分かってる。
これは浮気防止なんかじゃない。浅野さんを独占したいって願ったら思わず強くキスしてしまったのだ。
「今日は僕外回りなんだけどな」
「ずっとマフラーしてれば大丈夫です」
「ほんと、こんな無茶苦茶な子だとは思わなかったよ」
「浅野さんの前だとこうなっちゃうんです」
たくさん触れたい。たくさん触れてほしい。自分でもどうしようもない。
「好きです」
浅野さんの鎖骨にキスをしながら呟いた。
「浅野さんが好き……」
「うん……」
私の溢れる好きの気持ちに言葉で返してはくれない。
未だに浅野さんの口から私を「好き」だとは言ってくれたことがない。
でもそれでいい。今は浅野さんを急かしたくない。
「待ってます」
浅野さんから好きって言ってくれるまで。
私の言葉に浅野さんはまた「うん」と答えた。
ただこうして抱き締め合って、キスをして、それだけでも十分幸せな時間だ。
この関係は恋人だとはっきりしていない。けれど今の浅野さんは見たことがないくらい甘くて優しい。会社にいるときや優磨くんといるときの態度と、私と二人きりの時とでまるで違う。あの冷酷でセフレまでいた浅野さんが、私といるときは昔の浅野さんに戻ったようだ。
たくさん笑ってくれる。たくさん触れてくれる。女の人と連絡を取ることもない。誠実で私を大事にしてくれる。これが私の望んだことだった。