きみの愛なら疑わない

そうなると心配なのは浅野さんの魅力に他の女の子が気づいてしまうことだ。
今江さんは重要ではない報告をして資料を何度も浅野さんに見せに行っている。それに浅野さんが気づいているかは分からないけれど、私は内心穏やかじゃない。

再びLINEの通知がきて見ると『ギリギリまでくっついてごめんね』と浅野さんからのメッセージだ。句読点も顔文字も使わないシンプルなメッセージだけど彼の気遣いが嬉しい。

『今日の予定は?』

もう何度目かの質問に私は今日の予定を返信する。仕事の内容から退勤後の予定まで。といっても家に帰るだけで予定も何もないのだけれど。

浅野さんは私が何をしているのか聞いてくることも増えた。普通なら束縛されていると嫌がるのかもしれないけれど、浅野さんがそう聞いてしまう理由がわかるから私は正直に伝える。

私のことを大事にしてくれるからこそ、過去の恋人のように裏切られるのが怖いのだ。どこで何をしているのか聞かずにはいられない。

自分でも言っていたように浅野さんはワガママで面倒くさいかもしれない。一度決めたら今朝のように遅刻ギリギリまで私を放さないし、内緒で優磨くんのカフェに行くと言葉では言わないけれど不機嫌になる。
嫉妬してくれるのは嬉しいけれど、優磨くんに会いに行ったんじゃなくて仕事で新作ドリンクのポスターを持って行っただけなのに。

優磨くんも「美紗さんを泣かせたら俺が奪います」なんて冗談で言うものだから優磨くんにまで警戒しているようだ。

私が浅野さん以外に気持ちがいくわけないのに。
不安にさせるようなことは絶対しない。

『キスマークはすぐ消えたよ』

そんな報告を少しだけ残念に思ってしまった。
私だって浅野さんに負けないくらい面倒で嫉妬深い女なのだ。



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