きみの愛なら疑わない
◇◇◇◇◇



ブックカフェのカウンターに座って抹茶ラテを注文する。
店長は私の前にカップを置くと「今日は浅野さんと待ち合わせですか?」と問う。

「はい、お店の前に車で来てくれるので、浅野さんは中に入っては来ないんですけど」

店長も私と浅野さんが良い雰囲気になったのを知っている。お店での優磨くんとの会話で察したようだ。

「そういえば今日は優磨くんお休みですか?」

「ええ、出勤予定だったんですけど、急に休みになっちゃって」

「体調不良ですか?」

「ご家族に何かがあったみたいで、どうしても来れなくなったって連絡があって」

「そうですか……ご家族が怪我か病気でもされたんでしょうかね……」

「そんな深刻な様子ではなかったですよ。でも大変な事態とかで」

優磨くんがどうしても休まなければいけないとは城藤家で何かがあったのかもしれない。

「御曹司は大変ですね……」

店長がふと呟いたのに驚いた。

「あの……優磨くんのお父様が城藤グループの社長だってご存知なんですか?」

優磨くんはスタッフに知られたくないと言っていたのに。

「まあ城藤なんて、名前でわかりますよね。採用したときには気づいてました。履歴書の保護者の名前がホームページに載ってる社長の名前ですし」

確かに珍しいけれど有名な苗字なのだから関係者だと明らかに分かる。

「彼はヘラヘラしてるように見えて頭が良いし品のある子だし」

「確かに……」

一見するとどこにでもいる学生なんだけど、優磨くんにはどことなく品がある。

「バカな金持ちの息子って訳じゃないから付き合いやすいですしね。本人が自分から言わないから私も他のバイトには言ってないですけど、みんなも気づいてると思います。でも話題にはしないですね」

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