きみの愛なら疑わない

「その方が優磨くんも助かると思います」

LINEの通知がきて浅野さんがカフェの前に着いたようだ。

「じゃあ私はこれで」

「ありがとうございました。デート楽しんできてくださいね」

店長に照れながら笑顔を返してカフェを出ると、前には浅野さんの車が止まっている。4年前に見たものとは違う車にしたようだけれど。

「お疲れ様。待たせてごめんね」

「いいえ、店長と楽しく話してましたから」

「優磨は?」

「今日はお休みみたいです」

浅野さんは暫く考えてから「そう」と呟いた。

「行こうか」

「はい」

今から大手企業が開店したレストランに偵察も兼ねた食事にいく。
これがデートといえるかはわからないけれど、浅野さんがそうしたいならそれでいい。
どこに行ったって、何をしたって浅野さんとなら幸せなのだから。





「ごちそうさまでした。ありがとうございました」

「こちらこそ」

私のマンションの前で車が止まり、助手席から降りると浅野さんも車から降りた。
降りないでもいいのに、浅野さんは毎回こうして私がマンションに入るまで車の外に出て見送ってくれる。
大通りを一本裏に入るとマンションやアパートばかりの住宅地にはもう人気がない。最後の最後まで浅野さんと二人きりだ。

「あ、浅野さんスマホ鳴ってます」

窓から車内に置いてある浅野さんのスマートフォンが光っているのが見える。

「ほんとだ」

ドアを開けてスマートフォンを取った浅野さんが応答しようとしたところで切れてしまった。

「あ、切れた。優磨だったし後でかけるよ」

そう言って浅野さんはドアを閉めると私を見て軽く腕を広げた。それを合図に浅野さんの腕の中に体を寄せる。

< 107 / 164 >

この作品をシェア

pagetop