きみの愛なら疑わない

「その人って慶太さんの彼女さんだったんですか?」

「は?」

「え!?」

笑顔を見せる男の子に慌てた。

「ち、違います!」

「会社の後輩だよ」

「なんだー……」

男の子は私が彼女じゃないと分かると残念そうにカウンターの中に入った。

浅野さんが彼女じゃないと冷静に否定したことにショックを受けていた。確かにただの後輩なんだけど、少しは照れるとか慌てるとかしてほしかった。そう思うなんておこがましいのだけど。

「てっきり彼女かと思ったのに」

「僕と一緒にいる子を何でもかんでも彼女だと思うなよ」

「心配してるんですよ、慶太さんの生活を」

「優磨に言われたくないから。そこはほっといていいし」

私は二人の様子をぽかんと口を開けて見ていた。浅野さんがこの優磨と呼ばれた男の子と親しげに会話をしている。こんな浅野さんを初めて見た。

「あ、あの……お二人はお知り合いですか?」

私は会話に割って入らずにはいられない。二人は本社の社員とアルバイトの関係以上に親しい。下の名前で呼び合うほどに。

「ああ、優磨が中学生の頃から知ってるよ」

「俺が慶太さんを好きすぎてずっと付き合ってるんです」

「え!?」

付き合ってるって、まさか噂の? 浅野さんは本当に男の人が好きなの?

「優磨、誤解される言い方するなって。足立さん、今完全に勘違いしてるからね」

浅野さんは慌てる様子もなく無表情で否定する。

「地元が一緒で僕の実家にもよく来てたんだ」

「そうなんですね……」

「好きなのは本当ですけどね」

優磨くんがさらりと言うから私の疑いは晴れない。

「好きっていうか尊敬してます。人として」

「だから、恥ずかしいことを平気で口に出すなよ」

「いいじゃないですか」

ニコニコと無邪気に笑う優磨くんは浅野さんにとても懐いているようだ。

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