きみの愛なら疑わない
「で、美麗さんはもちろん慶太を選んだんですよね?」
「選べないよぅ……」
「なんで?」
目の前のワガママご令嬢にもう不快感を覚える。
選べないんじゃない。慶太を選ばなければいけないのだ。
「選べないって言ったら匠は何て?」
「美麗の好きにしてって……」
それは間違ってる。突き放してくれなければこの人は慶太の元に帰れない。美麗さんの判断に任せてしまうのは匠も美麗さんをどこか諦められないからだろうか。
「どっちも愛してるの……」
この言葉を聞いた瞬間、今まで意識しないようにしてきた思いが頭を駆け巡った。もう友人ではいられない、と。
この人とは価値観が違いすぎる。そばに居ようと繋ぎ止めていた気持ちが切れてしまった。
「美紗ちゃん……美麗、妊娠してるの」
衝撃の言葉に目を見開いた。
「妊娠……?」
細い彼女のお腹には命が宿っているのだと言われて思わずお腹に視線がいった。
そういうことか。最近の体調不良はつわりだと思えば納得がいく。
「どっちの……父親はどっちですか?」
聞かずにはいられない。お腹の子の父親は慶太なのか匠なのか。
「わからないよぉ……」
垂れた鼻水と涙でぐちゃぐちゃな顔で美麗さんは嗚咽を堪える。
「どうして避妊しなかったんですか?」
思わず責めるような声音になってしまった。
「慶太はゴムつけてくれたけど、匠とは……」
「つけなかったんですか?」
「だってその方が気持ちいいし……」
美麗さんを責めるつもりで大袈裟に溜め息をついた。婚約者がいるのに、婚約者ではない男と避妊もしないでセックスして妊娠するなんてゲスにもほどがある。返す言葉が浮かばない。
「美紗ちゃん、美麗はどうしたらいい?」