きみの愛なら疑わない
浅野さんは顔を上げて私の耳の上の髪にキスをした。
「……浅野さん?」
今までとは違うあり得ない行動に夢ではないかと思ってしまう。
「強気で一途なくせに、何で無防備なんだよ……」
耳元で囁かれる言葉の全てにゾクゾクする。
「他の男に隙を見せるな……」
「ごめんなさい……」
「今だって、簡単に捕まってるじゃないか」
「浅野さんなら怖くないです」
「…………」
「浅野さんだからいいんです」
この心も体も、あなたになら全部あげたって構わない。怒られたって冷たくされたって、もう怖くない。
「本当に君は……」
私を抱く腕が体をぎゅっと締め付ける。
「優磨を選んだ方が幸せになれるのに」
確かに優磨くんはいずれ社長だし、私にメリットはあるだろう。美麗さんに似てイケメンだし優しくて私を傷つけたりしない。それでも……。
「浅野さんが好きなんです」
この気持ちは変えられない。どうしようもない。
「優しい浅野さんが好き……」
「僕が優しいと思ってるなんて君は変わってるね」
呆れる声を出すけれど、言葉とは裏腹に浅野さんは私の頭に顔を寄せる。より体が密着する。
「あれだけ突き放せば普通は離れるんだよ」
「でも結局浅野さんが私を迎えに来たじゃないですか」
「足立さんの必死な様子が頭から離れない」
この言葉に私も浅野さんの腰に腕を回す。
「こんな僕を好きになってくれてありがとう……」
恥ずかしそうに小さく呟いた言葉は抱きしめられている私にははっきり聞こえた。
「私も……言いたいです。その言葉を」
だから浅野さんからも私への想いを聞きたい。
私を好きになってくれてありがとうございますって、浅野さんは言わせてくれるだろうか。
「僕はワガママだよ?」
「はい。それでも尽くします」