GREEN DAYS~緑の日々~
「どっわーん」

「どっわーん?」

その瞬間、プリクラのシャッターが下りた。洸はしまった、という顔をした。

「お前が変なかけ声するから、俺絶対変な顔だぜ」

「いいじゃん、元々変なんだから」

「お前、これでも評判いいんだぞ」

「ほー、そーですか」

夏穂はそう言いながら出来たばかりのプリクラを半分ちぎって洸に渡した。

「上出来―」

「最悪だよー」

「やばっ、あたしお使いの途中だったんだ」

「送ってってやるよ」

「クラブは?、間に合う?」

「ああ、今何時かな」

「あそこの文房具屋さんなら、」

夏穂はそう言いかけてはっとした。この間、洸に新しい水入れを買って貰った文房具屋のショー・ウィンドーに、この間までは無かった油絵の絵の具のセットが飾ってある。上等な木の箱に入った油絵の絵の具が夏穂の目に眩しく映る。

「…何だ、まだ早いんだね」

洸はその表情を見逃さなかった。

「お前、本当は油絵やりてえんじゃねえのか」

夏穂は何も答えない。

「どうしてやらないんだ」

「…高いじゃん」

「何が」

「絵の具」

洸は暫くしてから頷いた。夏穂は母親に気を遣っているのだ。ねだれば母親はきっと買ってくれるだろう。だが夏穂はわかっているのだ。女だけの生活が楽ではない事。従ってそんな事はしてはいけない、と。言ってはいけない、と。

「行こうか」

洸は優しく声をかけた。



< 16 / 49 >

この作品をシェア

pagetop