GREEN DAYS~緑の日々~
 その夜、夏穂は自室にいた。洸に買って貰った白い水入れに、今日洸と一緒に撮ったばかりのプリクラのシールを一枚、ペタンと貼った。そしていつもしている茶色の自分の腕時計のバンドの所にも、もう一枚。残りは引き出しに大事にしまう。夏穂は少し微笑んでいる自分に気が付き口を尖らせた。



 翌日、洸は校舎の二階の窓から校庭を見ていた。野球部員達の勇ましい声。陸上部員達の激しい息遣い。楽器を楽しそうに運んでいるブラスバンド部員達の笑い声。若い力達。洸はそれらの者を無機質な表情のまま見つめていた。彼らは何を語り合ってる?、未来の事?、将来の事?、少なくとも、昨日の話ではない事は確かだ。それだけは確かだ。洸はギター・ケースに目をやった。そこには夏穂と撮ったプリクラが一枚貼り付けてある。おどけた顔の夏穂。洸は微笑んだ。



 同時刻、国人は部活に行く途中、校舎の本館と別館を繋ぐ渡り廊下を歩いていた。前をかつて夏穂と仲の良かった優美が別の友達と歩いている。夏穂の名前が聞こえる。国人は耳を傾けた。オマツリダレトイク…、ワカンナイ、マエハナツホトイッテタンダケドオカアサンガ…

「いい加減にしろよ!」

気がついたら国人は叫んでいた。優美は驚きの顔をして振り返った。

「何でそんなに噂話ばっかり信じられるんだよ。てめえらいい加減にしろよ!」

その時、横から洸が現れた。国人は洸の顔を見ると駆け出した。洸は優美の顔を見つめた。
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