GREEN DAYS~緑の日々~
 家に戻ると洸は居間の壁に貼り付けてある、夏穂から貰ったポスターを寝転びながら見ていた。時間の流れ。目が眩んで…。追いかける。追いかけては、追いついて、追い抜かれて。ポスターは少し日に焼けている。この部屋は西日が強い。だがそれも後何日かの話だ。後何日かの…。



 祭囃子が夕方から聞こえ始めている。玲子は居間で夏穂に金魚模様のゆかたを着せていた。

「ねー、着て良かったでしょー。あー、可愛い可愛い金魚さん」

夏穂は口を尖らせた。

「行く相手もいないのに着たってしょうがないじゃん」

「だからお母さん達と一緒に行けばいいじゃないの。ちょっとあんた、お姉ちゃん迎えに行って来てよ」

 夏穂はぶちぶち言いながら表に出た。商店街の手前で洸を見つける。洸はゆかた姿の夏穂を見て「おおっ」と声を出した。

「金魚の国のお姫様」

「うるせーこのヤロー」

「どこ行くんだよ」

「お姉ちゃん迎えに」

「あれ、あいつお前ん家に行かなかったか?」

「え?」

「ほら、国人って奴」

夏穂は膨れっ面をして見せた。

「わかんない」

「わかんないって。迎えに来なかったのか」

夏穂は何も答えなかった。



 二人が話している姿を国人はずっと見ていた。瑞恵が後ろから声をかける。

「国人君、どうし…。あら、夏だわ。一緒にお祭り行くの?」

国人は暫くしてからゆっくりと首を横に振った。
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