GREEN DAYS~緑の日々~
その夜、瑞恵はクラブを覗いてみた。洸の姿は無い。洸は、もうそう長くはこの町にいないだろう。全てを自分達に知られた後では。
「ご注文は」
ソーダを頼む。洸がよく飲んでいたソーダ。瑞恵は頬杖を付いた。グラスの縁を見つめる。微かな水滴。この滴の一つ一つが何だか洸の流した涙の様に思えて来る。今まで、自分は不幸な家の娘だと思って来た。だがそれは違う。洸も、洸もそうだったのだ。そう思って生きて来たのだ。悩んで、悩んで…。
夏穂が洸に抱いている気持ち。傍から見ていても伝わって来る熱い気持ち。本当の事をしったらどんなに驚く事だろう。何も知らない周りの人間から見れば、それはとても滑稽で陳腐なものかも知れない。だけど自分にとっては少しもおかしくなんかない。夏穂の気持ち、洸の気持ち、自分の気持ち…。三人は三人とも口に出せない何かを心の中にしまっている。しまいながら生きている。洸は言っていた。夏穂の幸せな顔を見にこの町に来た、と。ならば、自分の事は誰が心配してくれるんだろう。そうだ。寂しいのは夏穂一人ではない。寂しかったのは夏穂一人ではないのだ。その事を誰もわかってくれない。わかってはくれないのだ。
ステージでは洸と違う男が安物の曲を皆に聞かせている。瑞恵は額に手をやった。夏穂の事がとてつもなく羨ましく思えて来る。自分の洸に対する思いは男と女の愛なんかではない。もっと別の物だ。もっと別の。かけがえのない光。洸にいて欲しい。側にいて欲しい。夏穂の側だけではなく、自分の側にも。
店員がお代わりは、と尋ねた。瑞恵はいらない、と答えた。
「ご注文は」
ソーダを頼む。洸がよく飲んでいたソーダ。瑞恵は頬杖を付いた。グラスの縁を見つめる。微かな水滴。この滴の一つ一つが何だか洸の流した涙の様に思えて来る。今まで、自分は不幸な家の娘だと思って来た。だがそれは違う。洸も、洸もそうだったのだ。そう思って生きて来たのだ。悩んで、悩んで…。
夏穂が洸に抱いている気持ち。傍から見ていても伝わって来る熱い気持ち。本当の事をしったらどんなに驚く事だろう。何も知らない周りの人間から見れば、それはとても滑稽で陳腐なものかも知れない。だけど自分にとっては少しもおかしくなんかない。夏穂の気持ち、洸の気持ち、自分の気持ち…。三人は三人とも口に出せない何かを心の中にしまっている。しまいながら生きている。洸は言っていた。夏穂の幸せな顔を見にこの町に来た、と。ならば、自分の事は誰が心配してくれるんだろう。そうだ。寂しいのは夏穂一人ではない。寂しかったのは夏穂一人ではないのだ。その事を誰もわかってくれない。わかってはくれないのだ。
ステージでは洸と違う男が安物の曲を皆に聞かせている。瑞恵は額に手をやった。夏穂の事がとてつもなく羨ましく思えて来る。自分の洸に対する思いは男と女の愛なんかではない。もっと別の物だ。もっと別の。かけがえのない光。洸にいて欲しい。側にいて欲しい。夏穂の側だけではなく、自分の側にも。
店員がお代わりは、と尋ねた。瑞恵はいらない、と答えた。