GREEN DAYS~緑の日々~
「高校生の時に…」

玲子と瑞恵は愕然としていた。輝明は正座している自分の両膝の上に両の拳を固く握り締めていた。

「あれが家を出て行ったのは十七を少し過ぎた頃でした。来年は大学受験で、担任の教師からも太鼓判を押されていた。だが耳に入ったのでしょう。私と貴女達の事を。どこかで耳にしたのでしょう。一度私と激しい口論になり、それから閉口的になってしまった。それは私が悪いのですから何とかしなければと思いましたが、何の考えも浮かばないまま、月日が流れてしまいました。そんな時です。今の家内からあいつがこの家に来た事を、行った事を知りました」

瑞恵はその時の事を思い出していた。

「私は激しく詰りました。私は貴女と別れる時に約束しました。もう一生何の迷惑もかけないと。だからあいつの事をはげしく詰りました。そしてその夜あいつは自分で勝手に家を出ました。責任を感じていたのでしょう。息子は。見当違いの責任を。本来、責任を感じなければならないのは私だった筈なのに。あいつは、あいつは、何もかも自分のせいだと思い込んでしまった。貴方達の幸せを壊したのは自分だと」

 輝明は唇をわなわなと震わせた。

「私は、この世で一番汚い人間です。最低の父親です」
< 41 / 49 >

この作品をシェア

pagetop