隣のダメ女。
「あぁ……そうですが。」


頭を掻きながら、そう答えると配達員は笑顔を絶やさずに言った。


「お隣の隅良さんが、お留守のようなのでお荷物預かってもらえますか?こちら生モノですので。」


ダンボールに張られた生モノのシールは、途中が剥がれている。




……気になる。何故、きちんと剥がれないように貼り付けないのか。

もしや、粘着力が無くなっているのでは?それならば、気づいた時点で新しいテープを、又はそれなりの応急処置をとって貰いたい。




「……沼田さん?」


「いえ、隅良です。」


「はい……?」


配達員は驚いた……と言うより、不思議そうな表情を浮かべた。


「あ、すみません。俺が隅良です。沼田なら奥に居ます。」


半信半疑で、配達員は目を細めると「じゃあ印鑑を…」と紙を手渡した。


「サインでいいですかね?」


「えぇ、どうぞ。」


渡されたボールペンで、隅良と殴り書きする。




「荷物は、どこか置けるところに……。」


「あの……置ける場所が見当たらないんですが。」


「……ですよね。」
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