めんどくさがり系女子の恋愛事情
先に沈黙を破ったのは
「え、青山さんて陸上部だったの!?」
クラスのお調子者の声だった。
「…そうだけど。」
たしか彼の名前は古賀健人(こがけんと)くん。
明るい髪色と人懐っこい笑顔が特徴だ。
普段無表情な私とは正反対で、彼がいるところはいつだって盛り上がってる。
「おー!
それは心強いぜ!
俺もリレーのメンバーなんだ!
よろしくな!」
「どーも…。」
このテンションの高さにはついていけない…。
「女子は現陸上部の今井と、元陸上部の青山さんで
男子はサッカー部のエース修也と俺!
なんだこれ、最強じゃね!?」
な?な?と言ってくる彼に悪気はないんだろうけど、この手のタイプの人間があまり好きではない私は、一生懸命笑おうとして頬がピクピクしている。
前に座ってる桃は涼しい顔してるし…
元はと言えば桃のせいなのにー!
「おい、健人、その辺にしろって。
青山さん困ってるぞ。」
この声は…
「あ、高野くん…。」
「でたっ、修也の優しさ!
その優しさを俺らサッカー部員にもわけてくれよー
てか、青山さんて修也のこと知ってんの?」
いきなり変なことを聞いてくる古賀くん。
私が知ってちゃいけませんかね?
「…この間助けてもらったし、それにクラスメイトの名前は全員覚えてるから。」
「「「え?」」」
「ん?」