君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
新庄さんに会いたくなった。
いや、いつも会いたいんだけど。
日曜に別れてから、一度も会えないまま、週末を迎えようとしている。
その間、電話はおろかメールすらしていない。
そもそも、用もないのに電話やメールなんてしたことがないんだから、当然だ。
日曜に、イベントスタッフとしての仕事があるため、前の晩には向こうへ着いていないとならない。
それでも、夕方に出れば間に合うので、その前に会えないだろうか。
もし、新庄さんが土曜休みだったらの話だけど。
そうメールすると、少しして、一日休みだから、好きな時に来たらいい、という返事が来た。
お昼ごろ行きます、と返信をする。
するといつもの『了解。』という短いメール。
よかった、会える。
せっかくの休みを、半端に潰させてしまうのは、申し訳ないけれど。
けど、顔を見られると思うだけで、少し、気分が明るくなった。
「お姉ちゃんて、ほんと忙しいね」
並んでベッドに寝転がっている奈保が、あきれたように言った。
「夜も全然帰ってこないし、泊まりも多いし、週末もいないんでしょ?」
「もっと暇な時期もあるよ」
「カッコイイ、働く女だねえ」
社会人、というだけで憧れの対象になる歳なんだろう。
妹は、本当にたたえるような声音でそう言ってくれた。
でもね、奈保。
忙しいのと、優れてるのは、違うんだよ。
お姉ちゃんは。
優れたほうになりたいの。