君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「人数は?」
「わからない」
「数えきれないって意味ですか、数えたことがないって意味ですか」
「まあ、間だな」
最近、私の中で一問一答が流行っている。
けれど新庄さんは、なんだかんだはぐらかして、なかなか答えてくれない。
「初めては?」
「大学1年」
へえ、意外と普通だ。
「私以前の、最後は?」
「そんなこと聞いて、どうするんだ」
「…どうするのか聞いて、どうするんですか」
それを無視して、新庄さんが、枕元の煙草をとった。
裸のままうつぶせて、一本くわえて火をつける。
「別に、お前が想像してるほど、非常識なことをしてきたわけじゃない」
「よく、考えてることがわかりましたね」
「わかるだろ」
そうですか。
私は新庄さんのほうに身体を向けて、綿のブランケットを胸元まで引きあげた。
新庄さんは、慣れているといえば、それまでなんだけど。
特に、よく知らない相手とするのに、慣れているんだと思う。
探したり、見つけたり、そういう過程を楽しむのに長けていて。
こっちがぎょっとするほど踏みこんでくるかと思えば、あっさりと引く、絶妙なバランスを持っている。
「どうでもいい相手」と、さぞ色々な経験をしてきたんだろうなあと、と興味がわいても、仕方がないじゃないか。
余裕の態度で一服する横顔が憎らしくなってきて、煙草を取りあげて、キスをする。
体勢のせいで、ちょっと乱暴にならざるを得なかったキスに、少しびっくりしたらしい新庄さんは、それでも、私を片腕で抱くと、ゆっくりとキスを返してきてくれた。