「先生、それは愛だと思います。」完
「ねぇ、あんまり言いたくなかったけど、やっぱり誠、おかいしよ」
俺は、数式を書く手を止め、美里を見つめる。
「心配じゃないの? 妹のこと。ご両親と仲が悪いのは知ってるけど、心美ちゃんは関係ないじゃない……」
「勘違いするなよ、俺は心美を邪険になんてしてない」
「どうしてそんなに、無関心なの、全てのことに……」
哀れんだように美里が呟いたので、俺は溜息をついた。
無関心? それの何が悪い。一体誰に迷惑をかけてる? 一体誰が悲しんでる?
感情任せに言い合いをしている人間は心底バカだと思うよ。最初から触れさえしなければ、誰も傷ついたりしないのに。
「まさか誠は、誰のことも傷つけていないと思ってるの……?」
美里のその言葉に、俺は一瞬固まった。それは、思ってもいない一言だったからだ。
「誠が両親に反抗すればするほど、心美ちゃんに跳ね返ってるんだよ……? ねぇ、誠はもう大学進学を機に家を出るかもしれないけど、心美ちゃんはまだ九歳で、少なくともあと九年はあなたの嫌っているその家で、家族と一緒に過ごすの。あなたみたいに逃げられないのよ」
美里の言葉は、いつも正しくて清い。何も間違っていないから、反論できない。
「あなたは、無関心で、無責任な人だわ……」
無責任、という言葉が、重く胸にのしかかって、俺は言葉を完全に失ってしまった。
蛍光灯で白く照らされた教室に、美里の真っ直ぐで正しい言葉が響く。
彼女の言葉は、いつも汚い俺の心の中を、鉄のスコップで抉るように、心の奥底に入ってくる。そして何度も思い知らされるのだ、自分の心の汚さを。
そんな俺に追い打ちをかけるように、彼女は言葉を続けた。
俺は、数式を書く手を止め、美里を見つめる。
「心配じゃないの? 妹のこと。ご両親と仲が悪いのは知ってるけど、心美ちゃんは関係ないじゃない……」
「勘違いするなよ、俺は心美を邪険になんてしてない」
「どうしてそんなに、無関心なの、全てのことに……」
哀れんだように美里が呟いたので、俺は溜息をついた。
無関心? それの何が悪い。一体誰に迷惑をかけてる? 一体誰が悲しんでる?
感情任せに言い合いをしている人間は心底バカだと思うよ。最初から触れさえしなければ、誰も傷ついたりしないのに。
「まさか誠は、誰のことも傷つけていないと思ってるの……?」
美里のその言葉に、俺は一瞬固まった。それは、思ってもいない一言だったからだ。
「誠が両親に反抗すればするほど、心美ちゃんに跳ね返ってるんだよ……? ねぇ、誠はもう大学進学を機に家を出るかもしれないけど、心美ちゃんはまだ九歳で、少なくともあと九年はあなたの嫌っているその家で、家族と一緒に過ごすの。あなたみたいに逃げられないのよ」
美里の言葉は、いつも正しくて清い。何も間違っていないから、反論できない。
「あなたは、無関心で、無責任な人だわ……」
無責任、という言葉が、重く胸にのしかかって、俺は言葉を完全に失ってしまった。
蛍光灯で白く照らされた教室に、美里の真っ直ぐで正しい言葉が響く。
彼女の言葉は、いつも汚い俺の心の中を、鉄のスコップで抉るように、心の奥底に入ってくる。そして何度も思い知らされるのだ、自分の心の汚さを。
そんな俺に追い打ちをかけるように、彼女は言葉を続けた。