いつか晴れた日に
「なに?」

「あ、いえ。今行ったら、部長もいるだろうし、リラックス出来ないだろうなと思って……」

「ああ、それもそうだ。じゃ、時間をずらすとするか」

思い掛けず二人きりになった会議室に、少しだけ高鳴る鼓動。
実は池永さんに憧れているわたし。これは亜紀にも内緒なんだけど。

「安西さんってさ、」

優しい笑顔を向ける池永さんにドキッとしながら、手を休めずに机を拭き続ける。

「何ですか?」と訊ねると、池永さんは一瞬、躊躇ったように目を伏せて。

それから
「彼氏、いるの?」と、呟いた。


……え?

池永さんの想定外の言葉に、ポカンとしてしまった。

彼氏って、どういうこと?
もしかして、デートに誘われたりするのかな?

いやいや、そんなことは有り得ない。
だって、池永さんには、結婚間近の彼女がいるはずだもの。
  
わたしが余程可笑しな顔をしていたのか、池永さんは困ったように頭をかいて、

「プライベートなことを訊いてごめん。気にしないで」と笑った。

……マズイ。

このままだと、二度と話しかけてもらえないかもしれない。



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