いつか晴れた日に
池永さんが会議室から出て行こうとドアノブに手を掛けた。

何か言わなくちゃ!

「あの、彼氏なんていません!」

し、しまった。
慌てて答えた所為で、声のボリュームが……

「そんな大声で言わなくても」

「いえ、あの」

ああ、恥ずかしい。わたしったら、何を必死になっているんだろう。

「彼氏いないんだ?じゃ、食事に誘っても怒られないよね?」

「食事、ですか?」

「そう。今日はもうすぐ終わるから、どっかでご飯食べて帰ろうよ。ダメかな?」


ダメなわけがない。
間髪入れずに「行きます」と答えていた。

会議室を片付けて、デスクの上の仕事を仕上げていく。

出来るだけ美香さんとは視線を合わせないように気をつけて、パソコンの電源を落とす。
ホッと一息。

「お疲れ様でした」と声を掛けて更衣室に向かおうとしたときだった。

「会議室、随分楽しそうだったけど、誰と話していたの?」

恐る恐る振り向くと、美香さんの咎めるような視線が突き刺さった。



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