いつか晴れた日に
「ううん、大丈夫だよ。一人で帰れるから。本当にありがとう」

黒崎くんが安心するように、立ち上がってニコリと微笑んだ。

だけど……
足に力が入らない。

膝から崩れ落ちるわたしを黒崎くんは、そうなることがわかっていたように腕の中に受け止めた。


「ほら、無理しなくていいのに」

ポツリと呟いた涼の言葉に泣きたくなった。
だって、無理しなきゃ、どうしていいのかわからない。

池永さんと亜紀のことも、涼のことも、そして、目の前の黒崎くんのことも。


「送っていく」

「でも……」

「これ以上、つべこべ言うと、背中におぶっていくよ?イヤだったら、大人しくタクシーに乗ること。いい?」

「うん」

わたしが頷くと、黒崎くんはホッとしたように笑って、それから、わたしの頭を撫でた。

「……」

その優しい手も涼と重なって、益々混乱してしまう。

本当に黒崎くんは涼じゃないの?
もしかして……。
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