いつか晴れた日に
「お、お疲れ様でした」
もう一度、そう言って更衣室に駆け込んだ。

……びっくりした。
黒崎くんが触れた頬を自分でも触れてみる。そこだけ、熱をもっているみたい。
ドキドキしている心臓を落ち着かせるように、小さく息を吐いて、それから、ロッカーを開けた。

と。

不意に足音が聞こえて、顔を上げる。

「随分と楽しそうだよね」

「……亜紀」

亜紀はガチャリと音を立てて、ロッカーを開けると、わたしに冷やかな視線を向ける。

「池永さんの次は黒崎くんって。怜奈も案外、強かだよね」

「……っ」

違うと言いたいのに、言葉にならない。

後ろめたい気持ちから目を逸らすと、亜紀は呆れた様に溜め息を吐いた。

「何か言ったら?」

「……亜紀」

ガシャン!!
耳障りな金属音が響いたのは、亜紀がロッカーを叩いたからだ。

「本当、怜奈を見てるとイライラする」

「なんで、そんなことを言うの?」

悲しくて声が震えてしまった。
亜紀とは友達だったのに。もう、関係の修復は無理なように思えた。

わたしを睨むように見詰める亜紀の視線が痛い。
何か言葉をかけようにも、喉がカラカラに渇いて声が出なかった。




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