いつか晴れた日に
ここは密室、逃げられないかもしれない。

……ううん。落ち着いて考えれば、きっとなんとかなるはず。
絶対、池永さんの思い通りにはならない。

「顔を上げてよ?」

唇を噛んで俯くと、身体を屈めて池永さんが覆いかぶさるように密着してきた。
池永さんの吐息が耳元にかかる。

そして、身体をビクッと震わせるわたしの頬に、池永さんはわざと音を立てるようにキスをした。

……この人、わたしを甚振って楽しんでる?

「最近さ、安西さんのことばかり考えるんだよね」

「止めて!!」

渾身の力で押し返しても、池永さんの身体はピクリとも動かない。

だ、誰か、助けて!
池永さんから逃げようと身体を捩るけど、その度に肩を掴まれて押し戻されてしまう。

「泣くの?可愛い」

「いやっ」

わたしに触らないでよ。この最低男!!胸に抱いていたバッグに力を込めて睨みつけた。

「離して」

「安西さんは、強情だよね。亜紀は、すぐにヤらせてくれたのに」

「…………」

その瞬間、頭の中で何かがブチッと切れる音がした。


< 122 / 159 >

この作品をシェア

pagetop